欧州連合の加盟国マルタは、その国内での雇用機会を求める外国人にさまざまなルートを提供しています。一般的な手続きは、必要に応じて(国籍に基づき)渡航ビザを取得し、法的に雇用されるための就労許可証(正式には「Employment License」)を取得することから始まります。これらの要件を理解し適切にナビゲートすることは、個人・企業双方にとって、国際的な才能を採用する上で不可欠です。
このシステムは、労働市場を規制しつつ、マルタ経済に貢献する熟練労働者や専門家の受け入れを促進するために設計されています。許可証の具体的な種類や申請手続きについて理解することが、マルタにおける成功した国際雇用への第一歩です。
外国人労働者向け一般ビザタイプ
マルタでの就労に必要な主要な要件はEmployment Licenseですが、入国ビザの必要性は申請者の国籍によります。EU/EEA/スイスの市民は、ビザや就労許可証を必要とせず、自由に滞在・就労が可能です。ただし、第三国籍者(EU/EEA/スイス以外)は、通常、入国ビザ(該当する場合)と就労許可証の両方を取得する必要があります。
第三国籍者が求める主な許可証の種類は以下のとおりです。
- Single Permit (シングル・パーミット): 最も一般的なタイプで、居住許可と就労許可証を一つの書類に統合しています。これにより、特定の雇用主・特定の役職で合法的にマルタに滞在・就労できます。
- Key Employee Initiative (KEI): 管理職や高度技術職に従事する高技能第三国籍者向けの迅速処理制度。処理速度が優遇されます。
- Highly Qualified Persons Rules: 金融サービス、ギャンブル、航空など特定セクターで高資格者を引き付けるための税制インセンティブ制度。これ自体は就労許可証ではありませんが、必要な許可証取得後に税優遇を受けられます。
| 許可証タイプ | 対象申請者 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Single Permit | 多くの第三国籍者(雇用目的) | 居住と就労の許可証を1つに統合 |
| Key Employee Initiative | 高度技能の管理職・技術者 | 高速処理(通常5営業日程度) |
| Highly Qualified Persons | 特定セクターの高所得者 | 税制優遇 |
就労許可申請:要件と手続き
就労許可証(またはSingle Permit)の申請は、通常、潜在的な雇用主が外国人のために代行して行います。申請には、雇用主が実際にEU/EEA/スイス内で現地採用を目指して求人活動を行った証明(Labor Market Considerations - LMC)が必要です。ただし、KEIのような特定制度や役割は、完全なLMC要件が免除される場合もあります。
申請資格条件:
- 登録されたマルタの雇用主からの有効な雇用契約。
- 提示された職務に適した資格と経験。
- 犯罪記録がないこと。
- 十分な資金証明(必要に応じて)。
- 有効な渡航用書類(パスポート)。
- マルタでの住居手配。
必要書類:
- 完成した申請書。
- パスポートのコピー(全ページ)。
- 履歴書(CV)。
- 学歴証明書および資格証明書。
- 以前の雇用者からの紹介状。
- 雇用契約書(雇用主・従業員署名入り)。
- 職務内容説明書。
- 職種の広告証明(LMC必要時)。
- 住居契約書・住所証明。
- 警察証明書。
- パスポートサイズの写真。
- 健康保険証書。
申請手続きの流れ:
- 雇用主が申請と必要書類をIdentity Malta Agencyに提出。
- Identity Maltaが申請内容を審査(必要に応じてLMCも評価)。
- 許可が下りると、就労許可証/Single Permitが発行される。
- もし、申請者がマルタ国外に在住の第三国籍者の場合、承認書を使って母国のマルタ領事館・大使館で入国ビザを申請(必要な場合)。
- マルタ到着後、滞在登録と生体情報登録を行い、実体の居住カード(Single Permit)を受領。
費用と処理時間:
Single Permit申請の費用は変動しますが、一般的には最初の申請に€280程度かかります。更新料は場合により低めです。
処理時間は申請種別や申請量により異なります。
- Single Permit: 標準的な処理に数ヶ月(例:8-12週間以上)かかることも。
- Key Employee Initiative: 迅速処理を目指し、多くの場合5営業日以内で完了(書類不備のなき場合)。
計画的に早めに申請を開始することが重要です。
永住権への道筋
マルタで一定期間合法的に在留・就労した外国人は、長期在留者として申請資格を得ることができる場合があります。これは永住権取得への一歩です。
長期在留者資格の一般要件:
- 申請前直前の5年間、合法かつ継続的にマルタに居住していること。期間中のマルタからの不在は6か月超の連続不在や、5年期間内の合計で10か月超にしないこと。
- 生活と扶養者の維持に十分な安定した資金証明。
- 住居の証明。
- マルタ語または英語の知識。
- マルタ社会への統合証明(例:統合プログラムへの参加)。
長期在留資格を得ると、多くの面でマルタ市民に近い権利(就労・教育のアクセス等)が与えられます。この資格を取得し、その後さらなる居住と統合要件を満たすと、一般的には10年居住後にマルタ市民権申請も可能となります。
扶養家族ビザオプション
マルタで有効なSingle Permitや他の長期滞在許可を保持する外国人は、家族呼び寄せのための制度(family reunification)を活用できます。
対象となる扶養家族:
- 配偶者または登録パートナー。
- 未成年者(18歳未満)、養子含む。
- 扶養義務のある成人子(例:障害など特別な場合)。
- 扶養親(例:本国の家族支援がない場合)。
扶養家族申請の流れ:
マルタ居住の家族がIdentity Malta Agencyに家族呼び寄せの申請を行います。その際、家族関係の証明、十分な住居、及び家族の生活費確保のための資金証明が必要です。これにより、家族はマルタ滞在許可を得ることになります。一部の場合には、扶養家族にも就労許可証が付与されることがありますが、許可証の種類や個別事情によるため確認が必要です。
雇用主・従業員のビザ遵守義務
マルタの移民・労働法規の遵守は、雇用主と従業員の双方の責務です。
雇用主の義務:
- 外国人に適正かつ有効な就労許可証/Single Permitを勤務開始前に確認。
- 就労許可証に記載された条件(役職、労働時間、給与など)を守る。
- 雇用状況の変更(役職変更、退職など)をIdentity Maltaに通知。
- 従業員の移民・労働状況の正確な記録保持。
- マルタの最低賃金・労働時間・休暇規則を遵守。
- 監査や規制当局の検査に協力。
従業員の義務:
- 有効な就労許可証/Single Permitと必要な入国ビザを保持。
- 許可証に記載された役職や雇用主のみに従事。
- 住所や個人情報の変更をIdentity Maltaに報告。
- 雇用契約およびマルタの労働法に従う。
- 期限前に許可証の更新申請を行う。
- 期限切れの場合、必要に応じて許可証の更新または別の在留資格を取得しない限り、出国。
これらの義務違反は、罰金や強制退去、将来の入国・就労禁止などの罰則の対象となります。Employer of Record(EOR)サービスを利用すれば、専門の知見を活用し、これらの複雑な要件を確実に遵守できます。
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